1)象牙質(ぞうげしつ)の痛み
レントゲンで見える象牙質のむし歯
歯の硬組織(体の構造で硬い部分)において痛みを感じるところは,最表層にあるエナメル質(人体で最も硬い組織)の内側にある象牙質です。
象牙質は硬組織にもかかわらず,象牙細管という中空構造があり,そこから歯髄の神経が刺激され痛みが生じます。
象牙質の痛みは,外からの刺激によって生じる2-3秒以内の鋭い深い痛みです。外からの刺激とは,食事や飲料などによる熱刺激や,甘い,酸っぱいといった化学的刺激,あるいは物理的な圧迫による機械的刺激があります。
ほとんどの場合は,歯髄中の神経が知覚過敏(感覚が過敏になること)を起こしている状態の歯に,日常ではごく当たり前の刺激が加わることで痛みが発生することが問題となります。
この痛みは,はっきりと場所を示すのが難しく,問題のある歯の前後2-3本の範囲に感じます。痛む場所に関して,上下の歯を間違えることも珍しくありません。
象牙質のむし歯によって痛みが出ている場合には,むし歯を除去し代わりのものを詰めることで治療します。
歯と歯肉の境界にある歯根(しこん:歯の根っこ)の象牙質が,歯肉が下がることによって露出し,生じる知覚過敏は,対処法が多種多様です。
まずは歯根面を清掃し汚れを付着させないこと,また酸性の食事や飲み物は控えるべきです。
さらに露出歯根面からの刺激の入力を防止するために歯根面を被覆することで対応します。
最近では知覚過敏用の歯磨き粉も効果的です。